宿泊者名簿は備え付けが義務です。しっかり記入いたしましょう。

ホテルや旅館にチェックインするとき、フロントで必ず宿泊者名簿に記入を促されます。

今ではほとんど、宿泊しようという時はインターネットで予約しますよね。その予約時に氏名・住所・年齢などの情報は提供しているので、このフロントでの記入がめんどくさいなぁと感じたことがあなたも一度はあるのではないでしょうか。

もうすでに宿泊施設側には宿泊者の情報は届いているわけですから、あまり意味がないような感じもしますが、これは法律で決められている義務ですので、やらないわけにはいかないのです。

この記事では、旅館業法で定められた宿泊者名簿について解説していきます。

目次

宿泊者名簿は旅館業法で備え付けることが義務とされている

旅館やホテルなどの旅館業は「旅館業法」で、宿泊者名簿の備え付けが義務付けられています。

なお、民泊も旅館業の一部ですから、宿泊者名簿を備えなければなりません。

第六条 営業者は宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があったときは、これを提出しなければならない。

2,宿泊者は、営業者から請求があったときは、前項に規定する事項を告げなければならない。

旅館業法第六条

当該職員というのは保健所の職員のことです。旅館業は衛生的な管理が必要なので、保健所の許可のもとに営業しているからです。

また、条文2にあるように、宿泊者もホテル側から求められた時には氏名などの情報を記入する義務があるとされています。

宿泊者名簿の目的

そもそも、宿泊者の情報を保存する目的とは何でしょうか。

集団食中毒、感染症対策

これは集団食中毒や感染症が広まるのを防ぐための措置です。例えば誰かが非常に強力なウィルスをもつ感染症にかかっているのがわかって、その人がつい最近までどこかのホテルに泊まっていたとしたら。。。

そのホテルに泊まっていた他の人も感染している可能性がありますから、ウィルスが広まってしまうのを食い止めるため、行方を追う必要があります。そんな時のために住所氏名などの情報をとっておくのです。

テロ対策

さらに近年、日本を含めた世界中で、恐ろしいテロの脅威があります。不特定多数の人が利用するホテルや旅館では、利用者の安全確保が求められます。

平成17年に旅館業法施行規則が改正されて、宿泊者が国外に住む外国人である時には国籍とパスポート番号の記載も義務付けられました。パスポートのコピーを宿泊者名簿とともに保存することになりました。

いろいろな事件が起こって話題になるのはほぼ100%ヤミ民泊です。
数年前の一斉摘発以降、最近はあまり聞かなくなりましたが、
ヤミ民泊とは旅館業法の許可や、民泊の認可、届出などをしていない違法な民泊施設のことを言います。施設の存在自体が違法ですから、旅館業法の宿泊者名簿の備え付けの義務などは当然守っていないでしょう。仮定の話になってしまいますが、もしも本人確認だけでもきちんとされていればそれが抑止力となり、起こらずに済んだ事件は多いと思います。

拒否した場合

パスポート提示拒否

もしも営業者が求めたにもかかわらず、パスポートの提示を拒否した場合には、これは国の指導によって行っているものであることを説明して提示を求めます。

さらに拒否するような場合にはその宿泊者はパスポート不携帯の可能性があるとして、最寄りの警察署に連絡するようにとされています。

宿泊者名簿記載拒否

上でも述べたとおり、宿泊者は宿泊者名簿に情報を記載する義務がありますので、この場合も拒否するとペナルティがあります。

もしも営業者が求めたにもかかわらず、宿泊者が記載事項を告げない場合には、そのことが「違法行為をするおそれがあると認められるとき」に該当するものとして、営業者は宿泊を拒否できます。

記載事項

宿泊者名簿への記載事項です。

  • 住所
  • 氏名
  • 職業
  • 国籍 (国外に住む外国人)
  • 旅券番号(国外に住む外国人)

その他、都道府県知事が宿泊者名簿への記載が必要と認めた事項については、都道府県において規則等により定めることができます。以下の様なものです。

  • 年齢
  • 前泊地
  • 行先地
  • 到着日時
  • 出発日時
  • 客室名

保存期間

「旅館業における衛生等管理要領」によって、3年以上の保存が求められています。実際の帳簿だと3年間分はとてもかさばるのでデータで保存してもいいようです。

まとめ

ホテル、旅館、民泊などの旅館業は、宿泊者の情報を記入した宿泊者名簿を3年以上保存することが義務付けられています。

急増する外国人観光客においては、パスポートのコピーも保存しなければなりません。これは法律で決められたことなので従わなければなりません。

しかし、これらは大切な個人情報ですので、義務として書かなければならないというのは、どこか少し書かされているという抵抗があるのも事実だと思います。テロ対策だと言ってパスポートをコピーされたら外国人の皆さんもいい気はしないでしょう。

こう言っておいて矛盾するようですが、それでも不特定多数の人が出入りする場所では安全・安心というのは優先するでしょう。何の心配もなく宿泊施設に泊まりたい、旅行を楽しみたいというのが本当の目的です。

決められたことなので情報の提供はしますが、宿泊業者の皆さんはどうかせめて、その個人情報は大切に厳重に扱ってほしいと思うのです。

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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