民泊と賃貸の違いってなに?1日ごとの賃貸って訳にはいかないの?

あなたが民泊を始めようというときに必要なのは、現状では旅館業の許可です。

これを取得するには、消防設備の設置など、クリアするべき様々な規制があります。

もしこれが、賃貸業であれば旅館業の許可をとることなく、(賃貸借契約の規定はあるものの)もっと簡単に民泊を始めることができるのにな~なんて思ったことはないですか?

しかし、本当にそれができたら、もうそういうビジネスは世の中に溢れているはずです。

わざわざハードルの高い旅館業の許可をとる人はいなくなっていますし、民泊を普及させたい政府もわざわざ旅館業法の規制緩和なんてしていないで、賃貸を広めようとするでしょう。

これらのことを突き詰めていくとこういう疑問に行き着きます。

「人に部屋を貸すということと、人を部屋に泊めるということの違いとはなんでしょう?」

この記事では賃貸と宿泊のちがいについて解説していきます。

 

 

目次

賃貸業では民泊できない

ひとつの結論を申し上げますと、部屋を賃貸して民泊はできません。

それは次のような理由から民泊は旅館業と判断されるからです。旅館業と賃貸業は全く別物です。

民泊は、

  1. 衛生上の管理責任が営業者にある。
  2. 宿泊者の生活の本拠がその部屋にない

という2つの要素が当てはまりますので、旅館業ということになります。

どういうことかくわしく説明していきます。が、そのまえに予備知識として旅館業の定義について説明させてください。

 

旅館業とは

旅館業は、旅館業法という法律によって定められているのですが、簡単にいうと次のように定義されています。

  1. 宿泊料をもらって
  2. 反復継続的に
  3. 人を宿泊させる営業

この3つのことが賃貸業にも当てはまるかどうか、照らし合わせてみましょう。

1.宿泊料をもらって

旅館業は宿泊料という名前の代金をいただきます。賃貸業では家賃という名前の代金をいただきます。

お客さんがその部屋を使うということについてお金をいただくという意味では、宿泊料=家賃と考えれば、違いはないように思います。

2.反復継続的に

これは、どちらも共通します。

反復継続的にとは、繰り返して何度もおこなうということです。反対に言いますと、1度きりではないということです。1度きりではビジネスとして成り立ちませんので、通常は反復継続的に行います。

 

3.人を宿泊させる営業

ここで問題になるのは、この「人を宿泊させる営業」です。この言葉の解釈が、民泊を旅館業と判断する重要な材料になります。

つまり、宿泊するということと賃借するということの違いです。

旅館業の許可を取って民泊ビジネスを始めてみたいという方はこちらに記事をご用意しています。具体的には「簡易宿所営業」という許可になります。是非ご一読下さい。
簡易宿所営業の許可を取りたい方へ。流れをザックリ説明!

 

「人を宿泊させる営業」とは

この言葉には先ほども述べた次の2つの原則があります。

  1. 施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるもの
  2. 宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこと

 

施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるもの

旅館業では宿泊施設の管理責任は営業者(=民泊事業者)にあるといっています。

え?でも、部屋を掃除したり、清潔に保つのはその部屋に泊まった人じゃないの?と思った方もいるかもしれません。

確かにそうです。例えば、自分の滞在期間中は、床にお茶をこぼしたら拭き取るでしょうし、ゴミがでたらゴミ箱に捨てると思います。

しかし固い表現ですが、「衛生上の維持管理」となるとちょっと違いますよね。維持管理とはもっと長いスパンで考えます。

宿泊者がチェックアウトしたら営業者は部屋を掃除して、次に泊まってくれるお客さんに備えます。

もし、何日も何ヶ月も次の予約が入らなければ、定期的に部屋に入って、ホコリをとったり、窓を開けて換気したりするでしょう。これが維持管理です。営業者がおこなうことでしょう。

ですから民泊の場合、衛生上の維持管理責任は営業者にあると言えます。

 

宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこと

生活の本拠というのは、その人の生活の基盤となる場所のことです。

住所がある場所とも言えます。つまり、その人の家ですね。

通常、旅行中などである宿泊者は、わざわざその宿泊日に合わせて住民票を移すようなことはしませんよね。

その人は確かにその部屋で1日〜数日間過ごすことになりますが、それは一時的な滞在でその部屋に生活の本拠があるとまではいえません。

それでは生活の本拠の具体的な期間はというと、1ヶ月を境に判断するというように厚生労働省は言っています。

ウィークリーマンション、マンスリーマンション

ここでよく例に出されるのが、ウィークリーマンションやマンスリーマンションです。

経営する会社により、固有の名前がありますが、一般的には、ウィークリーマンション、マンスリーマンションと呼ばれている、短期契約のマンションです。

ウィークリーマンションは文字通り、ウィークリー(週ごと)ですので、1ヶ月未満ということになります。この場合はマンションと言う名前でありながらも旅館業の許可を取ることになっています。

ではマンスリーマンションはと言いますと、マンスリーの名前のとおり、1ヶ月ということになりますからこの理屈からいくと賃貸業ということになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

以上のことから民泊はお客さんに部屋を賃貸しているわけではなく、宿泊させる営業(泊まることについてお金をもらっている)をしているのです。

宿泊させるということは旅館業法の定めるところですから、賃貸業ではなく、旅館業法の許可をとる必要があるということになります。

まとめると、生活の本拠、衛生維持管理を行わせる形態であれば賃貸、そうでなければ民泊(宿泊)です。

お客さんから料金を頂いてその部屋に滞在させるサービスと言う部分では確かに似ていますが、一日ごと賃貸するというわけにはいかないのです。

少々法律の細かい部分の話になってしまいましたが、ご理解いただけましたでしょうか。

是非参考にしてください。

 

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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