コンサート会場周辺もOK!イベント民泊とはなんですか?

民泊にはいくつかタイプがあります。

  • 旅館業法の簡易宿所営業の許可を取る民泊
  • 特区での民泊
  • 民泊新法にのっとった民泊

あともう一つ、あまり聞き慣れないかもしれませんが、イベント民泊というものがあります。

 

ところで私はこんな経験があります。

急に大阪へ出張が決まって、ホテルを予約しようとしたけれど何故かどこも満室。
平日なのにおかしいなと思い、何件目かの電話で「何かあるんですか?」ときいてみたら、どうやら近くでアイドルグループの2daysコンサートが開催される日に当たったらしい。。

 

コンサート会場が大規模であればあるほど、かなり広範囲の宿泊施設が埋まってしまいます。こんな状況をなんとかしようと考えられたのがイベント民泊です。

最近では2017年8月に開催された阿波踊りの期間に徳島市によってイベント民泊が実施されて話題になりました。まだ試験的ですが、まずまずの結果を得たことから今後広く活用されることが期待されます。

この記事ではイベント民泊を、観光庁が作成した「イベント民泊ガイドライン」に沿ってわかりやすく解説していきたいと思います。

目次

イベント民泊とは

イベントは多数の集客を目的として開催されるのが普通です。

イベント自体が集客をするためのものですから、イベント目当てで集まってくれたお客さんには是非、ついでにお土産を買ってもらうとか周辺の飲食店や観光施設を利用してもらいたいという狙いがあるはずです。

イベントで集まってくれたお客さんが日帰りではなく、そこで1泊してくれれば、街へ出て夕食をとったり、次の日は他の観光施設をまわってみたりしてくれる可能性が高いです。

これにより、経済が潤い、地方は活性化の方向にいくはずです。これを目指すのがイベント民泊です。

厚生労働省によると、イベント民泊とは

年数回程度(1回当たり2~3日程度)のイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、イベント開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いものについては、旅館業法の営業許可を受けずに宿泊サービスが提供できること

と説明されています。

ここでポイントとなる要素は

  1. イベントの開催時
  2. 宿泊施設の不足が見込まれる
  3. 開催地の自治体の要請等により自宅を提供する

の3つです。

ひとつずつ見ていきましょう。

1.イベントの開催時

イベントの開催期間の例として2〜3日程度となっていますが、これは目安としての日数です。

実際に、冒頭で触れた阿波踊りは8月11日から16日までの6日間開催されていますので、3日以内でなければイベントとして認められないというわけではありません。

また、自治体はイベント開催の前後の日を含めてイベント民泊の実施期間として定めることが出来ます。前泊したり、最後の日の後もう一泊したい人も考慮してのことでしょう。

イベントの内容性質については

「公共性の高いもの」という言葉がはいっていますが、公共性が認められるのであれば必ずしもイベント自体が公共的なものである必要はありません。

どういう事かといいますと、企業が開催しているものでも一般的にみんなが参加できるものならいいということです。その中には展示会、スポーツイベント、コンサートなどの音楽イベントも含まれます。地域のお祭り、花火大会などももちろんOKです。

 

2.宿泊施設の不足が見込まれる

イベント開催時に宿泊施設が不足するかどうかは実際やってみないとわからない部分はありますが、大方の予想はできるはずです。

前回開催時の来場者数や、そのイベントとは無関係ないつもの宿泊者数(仕事の出張でやってくる人など)と元々その自治体周辺の宿泊施設の数が把握できていれば大体割り出せるので、それによって合理的に判断されます。

3.開催地の自治体の要請等により自宅を提供する

イベント民泊を実施するかどうかの判断はそのイベント開催地の自治体が行います。国や都道府県にお伺いをたてることを必要としません。その市や町が判断します。

ただし、旅館業法に違反しないことの確認や、衛生トラブルの予防などの連携が必要になりますので保健所(その市や町にない場合は都道府県)、警察署、消防署などの関連組織と事前に相談し、情報共有することが重要になります。

実際の自宅提供者への要請は、自治体がやってもいいですし、そのイベントの実行委員会や、関連企業などの第三者に委託することも出来ます。

要請の方式

自治体は自宅提供者・宿泊者・近隣住民などの間のトラブルや、衛生、治安に関する事故を防ぐために自宅提供者を把握しておくことが重要です。

ホームページや広報誌などで自宅提供希望者を公募して、申し込んできた希望者のうち要件を満たすものにひとりひとり個別に要請をして把握することが必要です。

自宅とは

ここでいう自宅とは、個人が実際に居住する施設のことを指します。住宅提供者が所有するものに限られないので、賃貸マンションも(大家さんの許可は要りますが)OKということです。

 

イベント民泊実施の際に配慮すること(自治体向け)

自治体に向けて書かれている注意点です。

実施状況の把握

イベント民泊を実施しようとする自治体は、イベント民泊実施期間後に自宅提供者にアンケート調査をとるなどして、イベント民泊がどうだったのか把握し、住民間のトラブルや衛生面治安面の事故の予防に努めて欲しい。

自宅提供者に事前研修実施

地域の旅館業法担当部署や旅館ホテル生活衛生同業組合などと連携して、自宅提供者向けの研修をしたり、イベント民泊にあたって以下の気をつけるべき事項を広く伝えておく事が望まれる。

気をつけるべきこと
①宿泊者全員の氏名、住所、国籍、パスポートの番号を確認し、保存すること。仲介サイトを利用する場合には仲介事業者が確認し、自宅提供者に伝えること。

②チェックイン、チェックアウト時にも①と同じ確認をし、保存すること。

③必ずしも契約書を作る必要はないが、宿泊日、宿泊料金、部屋の内容(部屋の広さ、間取り、キッチン、トイレ、シャワールームの有無、施錠できるか、単独利用か、共用か、和室か洋室か、その他宿泊サービスに重要なこと)などの条件を明らかにして宿泊者を募集すること。

④同一施設で反復継続して宿泊者を受け入れる場合には旅館業法の許可が必要になり、営業許可または届出がなく宿泊者を受け入れれば旅館業法違反となること。

⑤近隣住民や大家さんなどに不利益が生じないように、あらかじめその宿泊施設でのゴミ処理の方法など、守るべきルールについて宿泊者に説明、指導すること。

⑥警察などからの要請に適切に協力すること。

 

損害保険への加入

自宅提供者に対し、このイベント民泊によって宿泊者や近隣住民などの第三者に損害が生じた場合にその損害を保証できる損害保険に加入するように要請すること。

適切な保険商品がない場合には保険会社と連携してイベント民泊にかかる団体保険商品などを作るように検討すること。

 

住民への説明、苦情受付窓口の設置

イベント民泊を実施すること、イベント民泊の概要についてホームページや広報誌で住民に広く知らせること。

苦情、相談を受け付ける窓口を設置すること。

さらにトラブル発生時には速やかに対応できる体制を整えておくこと。

 

仲介サイトの活用

イベントを広く知らせ、宿泊の予約受付を効率的に行うため、仲介サイトを使ってもよい。事前に仲介事業者と調整を行うこと。

 

実施状況の報告

イベント民泊を実施したらその状況がどうだったか(イベント名・開催地・開催時期・提供物件数・宿泊者数・延べ宿泊者数)を厚生労働省に報告して欲しい。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。イベント民泊ガイドラインをまとめて解説してきました。

これは私の意見ですが、国は民泊の普及拡大についての方向性をいろいろためしています。

このイベント民泊もそのひとつで、「年数回程度(2〜3日程度)」や「公共性の高いもの」と言っている割に要件は緩められており、自治体の判断に委ねています。コンサートやスポーツもその範囲内とすることで、あまりカタイものにはしたくないという印象があります。

今は120万人規模のイベント(阿波踊り)に対し、稼働した部屋は38部屋、宿泊者述べ275人と微々たる数字です。

それでも今回はある程度の成功と捉えてられている事から、今後法律の整備が進めば、もっと広がる可能性を秘めた民泊のスタイルということが言えるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

夫婦で行政書士事務所を運営しています。
3児の父です。
家族を連れて、日本各地の民泊に泊まりに行きたいです。

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